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9月1日:世界最大規模の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )は、2014年4-6月期の運用で、市場の観測として出ていた日本株の大規模な買い増しには動かなかった。
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GPIFが公表した4-6月期の運用状況によると、国内株式の保有残高は6月末に21兆9709億円と、3月末に比べ5.39%増えた。収益額は1兆694億円で、収益率は5.11%だ。1-3月期と比べた差額は、549億円と資産全体の0.04%に過ぎない。
BNPパリバインベストメント・パートナーズの清川鉉徳運用本部長は「市場の憶測が早過ぎた」と指摘。GPIF自身は年金財政検証の結果を受けて分析してから動くと言っており「ふたを開けたら言行一致していた」と話した。また、日本株の構成比を高めるなら、GPIFには「これから買い余力があるということだ」と述べた。
厚生年金と国民年金の積立金を運用するGPIFの資産構成の目標値は、国内債60%、国内株12%、外国債券11%、外国株式12%、短期資産5%だ。5月に行われたブルームバーグの市場調査(中央値)では、GPIFは資産構成比率の見直しで、国内債の目標値を40%に下げる一方、国内株は20%、外債は14%、外株は17%に増やすと予想。6月末の実勢との比較では、国内債は約17兆円減り、日本株は約3.5兆円増えると見込まれている。

「発表前に売買」の前例

GPIFが新たな資産構成比を発表していないのに、国内債の残高圧縮と日本株などの買い増しを先行させるのではないかと市場関係者がみるには事情がある。4月4日にGPIFは国内株運用の委託先見直しの結果を発表したが、清水時彦調査室長によると、実際の株式入れ替えは3月末までにほとんど終えていた。
日本銀行が6月に公表した統計によると、GPIFや年金特別会計、公務員らが加入する共済年金などの公的年金 は国債・財融債を1-3月期まで3四半期連続で売り越した。東京証券取引所のデータでは、年金基金の動向などを反映する信託銀行 が6月20日まで8週連続で日本株を買い越した。
GPIFからの資金流入観測がくすぶる中、TOPIX は4-6月期に5%上昇した。GPIFの青木重仁審議役は8月29日の記者会見で、株式などの売買を同四半期にどのように行ったかについてはコメントを控えた。
モルガン・スタンレーMUFG証券のクオンツとデリバティブ(金融派生商品)の戦略チームはリポートで、GPIFが国内株の目標値を20%に引き上げれば、TOPIX には3.73%前後の上値余地が生まれると推計。他の投資家による追随分の影響は含んでいない数字だとした。

市場を荒らさない配慮

GPIFは金利上昇の場合に評価損を被る恐れのある国内債の比率引き下げと収益の向上を求める圧力に直面している。昨年6月には資産構成比率を06年の法人設立後、初めて変更した。政府の有識者会議は昨年11月、国内債偏重の見直しやリスク資産の拡大検討などを求める提言をまとめた。
6月24日に閣議決定された日本再興戦略の改定版では、GPIFの資産構成見直しをできるだけ速やかに実施すると明記。GPIFの米沢康博運用委員長は7月のインタビューで、新たな資産構成は「まだ何も決まっていない」が、国内債が「30-50%という水準には違和感はない」と発言。見直し結果は「秋までに公表できる見通しだ」と話した。
米沢運用委員長は、GPIFは「公的な存在なので、市場を不必要に荒らすことだけは避けなくてはならない」と指摘。「このルールを守れて、公表前に売買に動ければ、それが一番良い」が、今回の資産構成見直しが大規模になる場合には「最初に公表してから動く方法もあり得る」と説明した。

高値づかみの恐れ

一方、有識者会議で座長を務めた政策研究大学院大学の伊藤隆敏教授は6月のインタビューで、GPIFは国債を「直ちに」売却すべきだが、日本株などの高値づかみは避ける必要があると指摘。「市場に先取りされる」恐れがある資産構成変更の工程表は、事前に公表すべきではないと述べた。
大和証券投資戦略部の塩村賢史シニアストラテジストは、「4-6月にGPIFが本格的に動いたのなら需給面でのインパクトはあんなものじゃなかったと思う」と指摘。「時間軸が大事で、仮に5年くらいかけてやるなら、何もしなくても債券の方も償還する部分が多いと思うので、株は比率が上がっていくと思う。1、2年とかある程度近いところで動くというのが示されないとすごく買うという話にはならない」と語った。
SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは、GPIFが「国内債を40%ないし、それ以下に減らし、国内株などリスク資産を買い増す方向で資産を見直すだろう」と指摘。「今は日銀が量的・質的金融緩和で大量に買っているので、減らすなら今のうちにやった方が市場への影響は限られる。一番悪いのは、日銀が購入額を減らし始めてからGPIFも売るパターンだが、そうはしないだろう」と述べた。
8月7日、政府・与党関係者が国内債40%、国内株20%超などで9月末にかけて調整を本格化させる見通しだと伝えた。3日後の日本経済新聞は、GPIFが5日の運用委員会で、9月に新たな資産割合を決めるまでの暫定措置として内外債券・株式の上下限を撤廃したと報じた。
GPIFは4月1日公表の平成26年度計画で、資産構成の見直しを視野に、目標値からの乖離(かいり)許容幅を弾力的に適用すると表明した。現在の許容幅は国内債が目標値の上下8%ずつ、国内株が同6%ずつ、外債と外株が同5%ずつだ。

初の下限割れ

6月末の構成比率の実勢は、国内債が53.36%と比較可能な01年末以降で最低。過去最高だった08年12月末の75.90%から22ポイント超も低下した。残高は12年末以来の水準に減った。GPIFが注視する短期資産を5%と仮定した場合の構成比だと、国内債は51.91%と、四半期末では初めて目標値からの下限を下回った。
国内株の構成比は17.26%と06年3月末以来の高水準。外債は11.06%で残高が14兆726億円、外株は15.98%で20兆3366億円。外債と外株は構成比と残高がともに過去最高となった。内外株式の構成比は計33.24%と過去最高に達した。
運用収益は4-6月期に2兆2235億円で収益率は1.77%。1-3月期には安倍晋三内閣の発足以降で初の損失を計上したが、国内外での株高が追い風となった。運用資産額は6月末に127兆2640億円。前身の年金資金運用基金として積立金の自主運用を始めた01年度以降で最も高い昨年末の128兆5790億円に迫った。
政府・与党や有識者会議が求めるGPIF改革は運用見直しだけでなく、権限・責任が三谷隆博理事長1人に集中するガバナンス(組織統治)の刷新も焦点だ。自民党の日本経済再生本部で本部長代行を務める塩崎恭久政調会長代理(元官房長官)は8月の講演で、GPIFによるリスク資産への投資拡大にはガバナンス改革が不可欠であり、秋の臨時国会で法改正に取り組む必要があると訴えた。
一方、自民党でGPIF改革に取り組む木原誠二衆院議員は8月のインタビューで、政府は法改正なしで出来る分野から変えていき、その成果を見極めてから法改正を判断しても遅くないと考えていると説明。法改正の有無は資産構成見直しには「何の影響も及ぼさない」と述べた。
木原氏は、新たな資産構成の具体的な割合は「GPIFが考えること」と断った上で「直感的には国内株式が20%というのは高過ぎる気がする」と発言。「国内株、海外株、REIT、もしかしたらベンチャーも含め、薄く広く分散投資しようという議論だ」と説明し、市場関係者の過度な期待通りにはならないとの見通しを示した。

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2014/09/01 17:00 世界のニュース TB(0) CM(0)
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